もう大人
子供の頃は辛い時、いつも母がいてくれた。
母と喧嘩をしたら、祖母と祖父がいてくれた。
しがみついて泣く場所が、私にはあった。
親元を離れてから、辛い時、やっぱり誰かに話を聞いてほしかった。
それは、恋人や友人だった。
何も解決しないのに、やっぱり誰かを求めた。
でも、今は違う。
辛い時こそ、話さない。
辛い時こそ、一人でいる。
そこに一緒にいてくれるのは、犬達だけ…。
なのにね。
何も言わないのにね。
そんな時、かかってくる電話がある。
それは、母だったり、大切に思う人だったり…。
祖母も以前は、よく不思議な電話をくれた。
私が絶望の中にいる時、電話をくれた時、私の状態を何も話してないのに、祖母はこう言った。
「あっちゃんが頑張ってるの、ばあちゃんが知ってるよ。誰も知らなくても、ばあちゃんは知ってる。」
何をすれば、どうなれば、大切な人を安心させて、喜ばせることが出来るだろうか。
子供の頃は、勉強を一生懸命にすれば良かった。
そしたら、みんな喜んでくれた。
大人になると難しいことも多い。
ただ、ただ、感謝することしか出来ない。
「みんなで、ディズニーランドとか行きたいねえ。」と母。
「そうね。いつか行けるかなあ。」と私。
「いつか行けるよ。大人になったら。」と母は無邪気に笑う。
もう、私は大人。
微笑ましさと切なさ…泣けてくる。
叶えるよ。絶対。